ISBN978-4-7724-1143-1
年間60万人の人ががんになり,30万の人々がそれで命を失う。がんは,日本人の死因で最も多い病気である。そして,がんの入院患者の多くに心理的援助が必要だと言われる。
緩和ケア(palliative care;パリアティブ・ケア)とは,生命を脅かす疾患による問題に直面している患者およびその家族のQOL(生活の質)を改善するアプローチである。苦しみを予防したり和らげたりすることでなされるものであり,そのために痛みという身体的問題,心理社会的問題,スピリチュアルな問題の早期発見,的確なアセスメントと治療を行うという方法がとられる。より快適な状態で治療を受けることができるので,生存期間も長くなることが実証されている。本書では,「時間」を臨床概念として導入することで,「緩やかに和す」と,患者の時間感覚に配慮した治療やケアを目指し,さらに終末期に有効なチョチノフ博士の“ディグニティ(尊厳)セラピー”を詳しく紹介している。
巻末には,著名なグリーフセラピスト,ニーマイヤー教授への喪失と人間の死をめぐる興味深いインタビューを収録した。