ISBN978-4-7724-1155-4
ブリーフセラピー/解決志向アプローチは,しばしば効果が限定的であるとか,軽い問題にしか適応できないといった誤解を受けてきた。またそれはセラピーの長さを短縮することが目的であるとか,行動のみに注目し感情や情動などを無視するかのようにいわれることも多かった。それは,この方法がとかく目新しい技法にばかり注目しがちなことや,理論をないがしろにしてきたことにも原因がある。
本書は,解決志向アプローチがこれまでもセラピーの大事な前提としていたにもかかわらず,明確に焦点をあてて来なかった傾聴や情動の扱い,および長期の事例や終結に関する考え方を,理論と実践の両面から具体的にわかりやすく述べ,上記のような誤解を解くものである。そして,クライエントの言葉を傾聴して感情や情動を把握してそれを尊重していくことがセラピーをスムーズに進めることを示し,治療関係を尊重したセラピーのあり方を具体例をもとに詳細に解説して,これからこの方法を学ぼうとするものにも具体的な指針を提供している。
ここで述べられるセラピーの進め方やさまざまなクライエントの反応に対するセラピストのあり方は,これまで信じられてきた技法先行のブリーフセラピーのやり方とは一風変わったところも多いが,技法の裏づけをなす理論的背景を明確に示した本書は,その意味で,解決志向アプローチの完成版であり,特に「変化」を志向する立場の人は,たとえオリエンターションが異なっていても,心理療法の効果に貢献する共通要因を本書から見出すことができるだろう。