永尾 雄二郎,クリストファー・ハーディング,生田 孝著

仏教精神分析
古澤平作先生を語る

四六判 190頁 定価(本体3,000円+税) 2016年8月刊


 
 

ISBN978-4-7724-1501-9

 西洋においてフロイトは,かつて存在したもっとも偉大な宗教批判者の一人と考えられている。精神分析と精神療法を,キリスト教と仏教を含んだ宗教的伝統と一緒により広い文脈で統合しようとする試みは,われわれの時代ではよく知られたものとなっている。「マインドフルネス」文化の台頭は,21世紀初頭におけるそのような統合の主要な一例である。……(クリストファー・ハーディング)

 本書は,日本精神分析の父といわれる古澤平作のかなり最初の頃の弟子であった永尾雄二郎(1925-)を生田孝とハーディングが2012年に聞き取ったものをまとめたものである。巻末には,山中康裕,妙木浩之による解題二編を収録した。
 古澤平作は,戦前戦後にわたり精神分析クリニックを開業,自由連想法による臨床精神分析の礎を作り,日本における精神分析創成期の臨床家として土居健郎や西園昌久,小此木啓吾など以後の有力な弟子たちを育てた。
 本書には,フロイトとの運命的な邂逅を経て,「阿闍世コンプレックス」の提唱者として日本の精神分析に不滅の足跡を残す“古澤平作”の素顔が紹介されている。阿闍世の物語は『観無量寿経』にあるものだが,古澤は父を幽閉した阿闍世の物語を母に対する罪悪感の物語として,フロイトとは異なる理論を作り上げた。精神分析と宗教がいかなる仕方で調和しうるのか,探求されるべき興味深くかつ重要な論点が全編に亘って展開されている。

おもな目次

はじめに/永尾雄二郎
一 不思議な御縁
二 アジャセ・コンプレックスとその普遍性
三 精神療法
四 感応の世界 コンパッション
五 大自然の道理 アンダースタンド
あとがき/永尾雄二郎
[注]/生田孝
解題1 山中康裕
解題2 妙木浩之
解説1 知られざる古澤の過去/生田孝
解説2 仏教と精神分析への私の関心/クリストファー・ハーディング
[古澤平作著作目録]