ロバート・エムディ著/中久喜雅文,高橋 豊,生地 新監訳/解題:渡辺久子

精神分析と乳幼児精神保健のフロンティア

A5判 304頁 定価(本体4,800円+税) 2018年10月刊



ISBN978-4-7724-1655-9

 ロバート・エムディは,世界乳幼児精神保健学会(WAIMH)の創設者で,現在WAIMH理事,乳幼児精神保健研究の第一人者として名高い児童精神科医,精神分析家であり,愛着理論で有名なボウルビーと同時代に活躍し,「3カ月微笑」「1歳半のNo!」の現象を発見したスピッツの正統な直弟子でもある。
 本書は,本邦初訳となるエムディの代表的論集である。主要な研究業績である,生物行動学的観察と精神分析理論を用いて,乳児が母親の「情緒応答性」を得ながら,人間存在の中心となる「情動的中核自己」を形成していくプロセスについての論考,また子どもの心の発達には,R=Reciprocity(互恵性)E=Empathy(共感性)V=Value(価値)が大きな影響を及ぼすことを説いた「REV理論」について,詳しく解説されている。 エムディの理論は,日本のいじめ,自殺,無気力,不登校,引きこもり等,現代の日本の子どもたちが持つ多様化し複雑化する問題の本質を考える上で,有効な知見といえよう。
 乳幼児精神保健や精神科医,心理士はもとより,広く子育て支援に関わる医療,保育,教育,福祉,司法,行政に携わる専門職必読の書。

おもな目次

日本語版への序:ロバート・エムディ
乳幼児精神保健に潜在する力―学会のテーマと道徳性発達
甘え,親密性,および早期の道徳的自己
終わりある発達と終わりなき発達T―乳幼児期からの生得的,動機づけ的要因
終わりある発達と終わりなき発達U―最近の精神分析的理論と治療的考察
精神分析理論のための肯定的情緒―乳幼児研究からの驚くべき事実と新たな方向性
情動的自己:乳幼児期からの連続性と変容
前進へ向けて―発達と精神分析に対する情動過程の統合的影響
発達の基本的様式の動員―共感的な応答性と治療的行為
情緒応答性の研究における次のステップ

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