熊谷晋一郎編

『臨床心理学』増刊第9号
みんなの当事者研究

B5判 200頁 定価(本体2,400円+税) 2017年8月刊


 
 

ISBN978-4-7724-1571-2

 浦河べてるの家から生まれ依存症自助グループ・発達障害当事者グループとともに発展してきた当事者研究を,「中動態の世界」をキーワードに國分功一郎と熊谷晋一郎が語り合い,向谷地生良,信田さよ子,上野千鶴子,坂口恭平,綾屋紗月,当事者研究の名の下に集った当代随一の書き手たちが語り尽くす!

 ある種の必然性とともに浦河べてるの家から自生した統合失調症の当事者研究は,アディクション系自助グループと再−合流しながら当事者運動を異化し,発達障害やその他のフィールドへと伝播を続けている。当事者運動からつづく歴史を回顧しながら医療・保健・福祉の領域における「静かな革命」を定位し,哲学者や社会学者をも魅了するその革新性,さらに「当事者中心エビデンス」を確立しつつある近未来を展望する。
 「1−みんなの当事者研究」「2−来たるべき当事者研究」「3−当事者研究のドライビングフォース」における理論的考察を経て,実践篇といえる後半では,本特集で最大の力点を置く「4−当事者研究をはじめよう!」では当事者研究をはじめるための基礎知識をQ&A形式で提示しながら,当事者研究参加レポートを臨場感とともに紹介する。「5−ひろがる当事者研究」では実践レポートによる当事者研究データベースを構築し,最終セクション「6−当事者研究の進化形態」ではこれまで予想もつかなかった当事者研究の進化形態を瞥見して近未来の医療・福祉を予見する。

 当事者研究の過去と現在を包括し,そしてその未来をまでも予見していく,みんなでつくるみんなの当事者研究入門ガイド。

おもな目次

1−みんなの当事者研究

  • 総論「みんなの当事者研究」 熊谷晋一郎

2−来たるべき当事者研究

  • 対談「来たるべき当事者研究」 熊谷晋一郎+國分功一郎

3−当事者研究のドライビングフォース――当事者研究の「歴史/哲学」

  • 生きて存ることの研究 福島 智
  • 当事者研究とソーシャルワーク 向谷地生良
  • 当事者研究と精神医学 丹羽真一
  • 自助グループと当事者性 信田さよ子
  • 当事者研究と「哲学」 石原孝二
  • 当事者研究と「教育学」 河野哲也
  • 当事者研究と「現象学」 村上靖彦
  • 当事者研究と「社会学(女性学)」 上野千鶴子

4−当事者研究をはじめよう!――当事者研究Q&A

  • [編集・執筆]綾屋紗月+当事者研究のやり方研究会

5−ひろがる当事者研究――当事者研究の「実践」

  • 男性薬物依存症の当事者研究 秋元恵一郎
  • 女性薬物依存症の当事者研究 上岡陽江
  • 統合失調症の当事者研究 中嶋正人
  • 双極性障害の当事者研究 坂口恭平
  • おとなの発達障害の当事者研究 大嶋栄子
  • レビー小体病の当事者研究 樋口直美
  • 子どもの当事者研究 森村美和子
  • 吃音の当事者研究 山田舜也
  • 聴覚障害の当事者研究 松 丈
  • ジェンダーの当事者研究 大嶋栄子
  • こじらせ男子の当事者研究 清田隆之

6−当事者研究の進化形態――当事者研究の「未来」

  • 当事者研究の支援効果に関するエビデンス 熊谷晋一郎
  • 当事者主導研究――User-led studyの動向と未来について山崎修道
  • 精神医療のコ・プロダクション 西田淳志
  • 浦河べてるの家の縦断研究 石川亮太郎+)小林 茂
  • 医療観察法病棟における当事者研究の実践 高橋 昇
  • [補論]Discovery志向型共同研究
  • 顔認知時のスキャンパターン 加藤正晴
  • 語りの自然言語処理 荒牧英治
  • ASD視覚体験シミュレーター 長井志江
  • 「言いっぱなし聞きっぱなし」のエスノメソドロジー 浦野 茂
  • パーソナルスペース 浅田晃佑